任天堂の次世代機「Nintendo Switch 2」(ニンテンドースイッチ2)を一足早く試してみた。日本では4万9980円の新型ゲーム機は本当に買う価値があるのか? 実際に触れてわかった実力を検証する──。
布張りのテーブルの上に置かれた2つのマウス型コントローラーを、何度もこすり続けるのは意外と疲れる。これは「Drag x Drive」という車いすスポーツゲームで、Switch 2の新機能「マウスとしても使えるJoy-Con」を活かした作品だ。
手元で車輪を回しているかのような振動が伝わってきて、それなりに臨場感はある。ただ、「机に向かってこする」のはどうなんだろうと少し疑問に思った。後になって、ズボンの太ももあたりでこすってもOKだと知ったのだが、そのほうが楽だった。
これは4万9980円で6月5日に発売される任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」を丸一日遊んだ中で見つけた、ちょっと変わった体験の一場面だ。
初代Switchでのゲーム体験は大好きだったが、今回のSwitch 2は全く新しいゲーム機というより、既存のSwitchのアップグレード版という印象を強く受ける。
PS5やXbox Series Xのように、グラフィックの強化が「買い替えの理由になるか」に大きく左右されそうだが、任天堂はそこに留まらず、ワンタッチでのボイスチャットやパーティゲーム用のプラグインカメラ、Joy-Conをマウスとして使える新機能など、多彩な要素を盛り込んだ。
問題は「既存のSwitchよりどれだけ楽しいか」だが、ハードとしては優秀だと思う。しかし、今のところそれを十分に活かすゲームが見えないため、すぐに買い替えを決めるほどの確信には至らなかった。ただ、子どもから「マリオカート ワールドとSwitch 2が欲しい!」とねだられる光景は、簡単に想像できる。
とはいえSwitch 2は、既存のSwitchより大きく性能もアップしたモデルとして、予算が許すなら悪くない選択肢だ。
ローンチタイトルの「マリオカート ワールド」とセットのSwitch 2本体のセットもプラス5000円の5万3980円で買える。Steam DeckやWindows系携帯ゲーム機と比べると、4K出力が可能なドック付き携帯機としては意外と競争力のある価格設定ともいえる。
今回のレビューでは「マリオカート ワールド」「ドンキーコング バナンザ」「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」「星のカービィ ディスカバリー(リマスター版)」、さらには「Cyberpunk 2077」「Split Fiction」なども試してみた。
「マリオパーティ ジャンボリー」では、マウスモードのJoy-Conとオプションのカメラを使い、テレビに自分を映しながらプレイするモードも体験した。
どのタイトルも面白く、携帯モードで既存のSwitchソフトを遊ぶならSwitch 2が最適だと感じた。ただ、現時点では「買い替え必須」と断言するほどではないかもしれない。それでも、子どもが「Switch 2でマリオカートをやりたい!」と言い出す未来はかなりリアルに思い浮かぶ。
実機を触った印象
Switch 2は実際に持つとやや大きく、重量もある。ただ、初代SwitchのOLED版から激変したわけではない。7.9インチに拡大したディスプレイはありがたく、最近Steam Deckに慣れているせいか、厚みはさほど気にならない。実際に並べても初代Switchと大差ないくらいだ。
ディスプレイは液晶で、Switch OLEDほど鮮やかさは感じないかもしれないが、数時間遊んだかぎりでは十分きれいに見えた。解像度は1080pでHDR対応、最大120Hzのリフレッシュレートが出せるゲームもあり、表示のスムーズさを体感できる場面もあった。
Joy-Conはサイズアップし、磁力で着脱するようになった。背面のリリースボタンを引くだけで簡単に外せるため、従来のように小さなボタンを押しながらスライドさせる手間が省ける。作りもしっかりしているが、スティックやボタンの感触は従来のJoy-Conに近い。アナログトリガーがないのは残念だ。
トリガーは以前と同じデジタル式で、Switch 2のプロデューサー陣は応答速度を重視したと言っていた。個人的にはアナログトリガーが欲しかったが、過去ソフトとの互換性を考えると難しかったのかもしれない。
右Joy-Conに追加されたCボタンは「ゲームチャット」を起動するためのもので、最大4人までボイスチャットできる。保護者の承認したフレンド同士であれば会話はしやすいし、オプションのカメラをドックに接続すればビデオチャットも可能だ。任天堂純正のスタンド型カメラもあるが、サードパーティ製カメラも一応使えるという(動作保証は不明)。
当日はゲームチャット自体を試せなかったので、音質やノイズキャンセル性能はわからない。Switch 2本体にはマイクが内蔵されているが、Joy-Con側にはない。その代わり、新発売の9980円「Switch 2 Proコントローラー」にはヘッドホンジャックがあり、マイク付きヘッドセットを直接挿せるようになっている。
新型ドックは独立した冷却ファンを搭載し、大きめのサイズだが、テレビ周りに置くためそこまで邪魔にはならない。初代Switchのドックとは互換性がなく、4K出力に対応する分、ゴツさは増している。
Switch 2本体のキックスタンドは角度をかなりつけられるようになった。プラスチック製で心もとない気もしたが、実際に立てるとわりと安定している。USB-Cポートは上下に2つあるが、上部ポートでは映像出力ができない。Xreal OneのようなARグラス対応の予定もないそうだ。
持ち運びに関しては、Steam DeckやWindows系携帯ゲーム機ほどゴツくなく、平たい形状なのでカバンにも収まりやすそうだ。確かに本体は長いが、厚みが少ない点が携帯性を高めている。
筆者はニューヨークで開催された体験会で各タイトル約20分刻みのプレイセッションを回ったが、ほかの地域でも似たようなイベントが行われるようだ。結論として、「ハードはパワーアップしている」、「今のSwitchから買い替えるかどうかはソフト次第」というのが率直な感想だ。子どもが欲しがりそうな魅力は十分だし、今後どんなタイトルが出てくるのか期待したいところだ。
マリオカート ワールドはまるで「グランド・セフト・マリオ」
マリオカート ワールドのマップがどのくらい広いのか、まったく想像がつかない。レース前の短いフリー走行タイムだけでも、街から農場、アリーナ、山道を経由して列車の線路に飛び乗ったり、電線を渡って空中に出たり、無数の柵を壊しながらクッパの城らしき場所を見つけたりと、やれることが多い。Switch 2専用のローンチタイトルとして、いかにも「これを買え!」と言わんばかりの迫力がある。レースゲームなのに、オープンワールドのマリオのように驚きが詰まっているところが最高だ。
「Grand Theft Mario」や「Mario Horizon」と揶揄されてもおかしくないくらい広大だが、実際に遊んだのは2コースのみ。24人対戦が可能で、コースも横に広いせいか、情報量が多く細部はあまり覚えていない。キャラはゴンドリエ姿のルイージやハンバーガー帽子のキノピオ、戦闘アーマーのドンキーコングなど多彩で、乗り物もバイクや車などおなじみのものが多数ある。
新要素の「サバイバル」では複数のコースを移動しながらラリー形式でレースを繰り返し、下位4名が脱落していく。ゴールしたと思ったら実はあと1周残っており、最終的に16位になってしまったが、大勢で走るカオス感が楽しい。
もっと遊んでみたいと思わせる仕上がりで、映像はきれいだし操作感は従来のマリオカートそのもの。そこに詰め込まれた新要素がどう活かされるのか、発売後にじっくり確かめたい。
「ドンキーコング バナンザ」:思いきり壊しまくるアクションが新鮮
新作の3Dマリオは未登場だが、代わりに発表されたのが「ドンキーコング バナンザ」だ。Switch 2専用のオープンワールド作品で、7月17日に発売される。数年ぶりのドンキーコング新作で、一部リークはあったものの、多くのファンにとっては意外だったかもしれない。実際に触ってみると予想以上に面白かった。
最大の特徴は、「掘る」「壊す」の要素を大胆に取り入れていること。ドンキーコングが壁や地面を掘り進め、ステージによってはかなり深い場所まで行ける。洞窟のようなステージで掘り進めていたら道に迷い、気づいたらまったく別のエリアに抜け出す……という感じ。『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』ほどのスケールではないが、上下に広がる世界観は近いものがある。
ドンキーコングや敵キャラはコミカルながら派手な動きで、『ラチェット&クランク』を思わせる華やかさがある。ビジュアルもにぎやかで爽快感があるが、全体のボリュームはまだ不明。ただ、Switch 2では大量の破片描写やパーティクルも滑らかに動いていて、旧Switchだと処理が厳しかっただろうと感じた。
Joy-ConのマウスモードでFPSをPCライクにプレイ
約20分プレイした「メトロイドプライム4 ビヨンド」は、Switch 2がどれだけ美しいグラフィックを描画できるかを示すデモのようだった。大画面テレビで1080p 120Hz出力された映像は滑らかで、任天堂のコンソールではトップクラスのシューティング表現だと思う。荒涼とした惑星を探索し、襲ってくるクリーチャーを倒し、モーフボールで転がり、最後は大きなボスにやられたが、それでも十分に楽しめた。
筆者はテレビモードで、まずJoy-Conを通常コントローラーのように使い、その後は片方のJoy-Conを机に置いてマウス操作のように試してみた。PCのFPSに近い感覚で照準を動かせるのが新鮮で、瞬時にスティック操作に戻せる柔軟さもいいと思った。
Switch 2 Welcome Tour:これが無料じゃないのはなぜ?
体験イベントで「もっと突拍子もないものが出てくるのでは」と思っていたが、Welcome Tourは「Switch 2の機能を案内するミニゲーム集」という感じだった。Valveの『Aperture Desk Job』やPS5の『Astro’s Playroom』、Meta Questのチュートリアルに近い内容で、Switch 2の新機能を一通りおさらいできる。
具体的には、Joy-Conのマウスモードで小惑星を避けるミニゲームや、4Kテレビに映した初代『スーパーマリオブラザーズ』を見て「画面領域の広がり」を実感したり、花火を打ち上げてHDRのオン・オフを比較したりするなど、チュートリアル的要素が多い。ただ、これが有料ダウンロードソフトというのはやはり疑問で、同梱ソフトでもよかったのではないかと思う。
Drag x Drive
ユニークなSwitch 2専用タイトルが『Drag x Drive』だ。マウス操作のJoy-Conで車いすプレイヤーを操作し、3 x 3のバスケットボールを楽しむ。片方の車輪を動かすためにJoy-Conを前後にこすり続けるので、腕をずっと動かすことになり体力を消耗する。
実際はボートを漕いでいるような感覚に近く、腕がだるくなりそうだが、ホイールを回すときのカチカチした振動は妙に楽しい。ボールの奪い合いや体当たり、シュートといった展開は『Rocket League』並みにカオスだが、長時間プレイには向かないかもしれない。短時間なら十分楽しめると思う。
スーパーマリオパーティー ジャンボリー:カメラ&マウス機能をフル活用
今回試した中でも特にインパクトがあったのは、『Mario Party Jamboree』のSwitch 2版アップデートで追加されたミニゲームだ。マウスモードを活用する遊びや、オプションのカメラを使ったモードが盛りだくさんだった。
同僚と一緒に、マウスモードのJoy-Conを引いて離す動きでぜんまい仕掛けの小さな車を走らせるレースをしたり、テーブル上でエアホッケーのようにノコノコの甲羅を打ち返すミニゲームも遊んだ。いずれも振動フィードバックに手応えがあり印象的だった。
カメラを使うミニゲームでは、大声で叫んだり踊ったり、頭に甲羅を乗せてバランスを取ったりと、プレイヤー自身が画面に映ってゲームに参加できる。昔のPlayStation EyeやXbox Kinectのようで、ちょっとした体感ゲーム感覚を味わえる。ずっと遊び続けるかはともかく、『Mario Party Jamboree』を盛り上げる要素にはなりそうだ。
初代Switchソフトのグラフィックも向上、ただし追加料金が必要な場合も
Switch 2向けに最適化されたタイトルの中には、Switch 2エディションとしてやや高めの価格で売られているものや、既に持っている人向けのデジタルアップグレードが用意されているものがある。Nintendo Switch Online Plus会員なら無料でアップデートできるケースもあれば、追加料金が必要なソフトもあるようだ。
Switch向けのゼルダ『ブレス オブ ザ ワイルド』と『ティアーズ オブ ザ キングダム』にもSwitch 2版が用意されており、少し遊んだ限りではフレームレートが向上して動きが滑らかになっていた。劇的な違いとまではいかないが、筆者はSwitch 2で遊びたいと思った。また、Switch 2版では新スマホアプリ「Zelda Notes」に対応しているらしいが、今回は未体験だ。
『星のカービィ ディスカバリー』は、Switch 2向けに新ストーリーモードやビジュアル強化が追加された。筆者は氷の世界が舞台のエリアを少し触れたが、DLCも含めてボリュームアップしているので、カービィ好きならSwitch 2を買う価値はあるかもしれない。
「ゲームキューブモード」がついに解禁!
Switch 2には、任天堂公式の「ゲームキューブ」バーチャルコンソールも追加される。利用には「Switch Online Plus追加パック」の加入が必要で、初代Switchでは遊べない。ローンチ時点では遊べるタイトルが少ないが、『ゼルダの伝説 風のタクト』や『F-Zero GX』などを少し触れた。『F-Zero GX』の猛烈なスピード感は今遊んでも健在だ。
任天堂公式のGameCube用ワイヤレスコントローラーも登場予定で、昔のボタン配置やスティック感覚がかなり忠実に再現されている。懐かしさもあって、時間を忘れそうになった。
サードパーティ新作の移植版:携帯機として十分なクオリティか?
Switch 2には、PCやXbox、PlayStationでは既に遊べたが初代Switchにはなかった作品を携帯機で楽しめる点も大きい。『Elden Ring』『Madden』『Cyberpunk 2077』『Split Fiction』などが代表例だ。短時間プレイした限りでは、パフォーマンスにばらつきがあると感じた。
協力プレイで人気の『Split Fiction』は分割画面モードだとフレームレートとグラフィックが少し落ち、面白さは変わらないが見た目のクオリティはイマイチ。『Cyberpunk 2077』は広大な街並みを再現しているものの、PS5やXboxほどの画質はなかった。『Madden』や『Elden Ring』は今回出展されていない。
それでも、Steam Deckと同様に『Elden Ring』や『Cyberpunk 2077』がSwitch 2で動けば、Steam DeckやWindows携帯機のライバルとなりうる。ただ、Steam DeckやWindows携帯機は「既に持っているPCゲームをそのまま遊べる」強みがあるため、Switch 2への乗り換えが広がるかは未知数だ。
少なくとも、Switch 2が現行世代のゲームを携帯機として遊べる可能性は感じられたが、NVIDIA製プロセッサーの詳しいスペックは不明。レイトレーシングやアップスケーリング対応がうわさされるものの、その限界はまだ見えていない。
現時点での結論:最良のSwitchだが、必須とは言い切れない
正直、Switch 2にはもっと意外性や革新的な仕掛けを期待していた。とはいえ、2017年の初代以来で最大のアップグレードであることは間違いない。それなのに「絶対買うべき」とまでは思わないのは、今回触れたゲームがどれも面白い反面、完全に新しい体験とは感じなかったからだ。
加えて、ソフトの価格が全般的に上がっていたり、Switch 2版アップグレードへの追加料金が発生したり、チュートリアルのようなソフトにまで値段がついているのが少し気になる。経済状況を考えると、すぐ飛びつく人ばかりではないだろう。
それでも任天堂の新作にはやはり魅力があるし、Switch 2も欲しくなる。最終的には、これからのソフトラインアップ次第で価値が決まるだろう。
Amazonで現在開催中のセールを見る
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
WACOCA: People, Life, Style.