ロシアは、一定の条件の下でウクライナとの一時的な停戦を受け入れる用意があることを示唆した。そうした中、トランプ大統領はウクライナに対し、和平合意に向け進むよう圧力をかけ続けている。

  ロシアによる3年前の全面侵攻で始まった戦争の終結につながる取引を追求するトランプ氏は、長く続けてきたウクライナへの軍事支援を一時停止し、ロシアに接近している。

  トランプ氏は7日、大統領執務室で記者団に対し、「ロシアとは非常にうまくやっている」と語り、「率直に言うと、ウクライナを相手にする方がより難しい」と述べた。

大統領執務室で記者団に語るトランプ大統領

Source: Bloomberg

  協議に詳しい複数の関係者によると、トランプ氏のアドバイザーらは、対ロシア制裁をどのように緩和するかについて既に概要を練っている。緩和対象にはロシア産石油の価格に設定されている上限などが含まれる。

  ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ大統領による2月28日のホワイトハウスでの会談は激しい口論の末、決裂したが、両国の当局者は3月11日にサウジアラビアで会合する準備を進めている。両国関係を改善させ、ゼレンスキー大統領との口論後にトランプ氏が停止した対ウクライナ武器供与と情報共有を再開させることを目指す。

  米国家地球空間情報局の報道官は7日、G-EGDシステムからの衛星画像へのウクライナのアクセスを一時的に停止したと明らかにした。これについてはニューヨーク・タイムズ紙が先に報じていた。

  トランプ大統領のロシア寄りの姿勢は、ロシアに有利な条件でウクライナをディール(取引)に追い込むのではないかとの懸念をウクライナと欧州の同盟国に抱かせている。

  事情に詳しい複数の関係者によれば、ロシア当局者は先月行われた米当局者との協議で、最終的な和平合意に向けて進展がある場合、短期的な停戦を検討する用意があると伝えた。非公式な協議を理由に匿名を条件に語った。

  関係者のうち2人は、停戦に合意するためには、最終的な和平協定の原則的な枠組みについて明確な理解が必要になると語った。別の関係者は、ロシアは最終的な平和維持活動の境界を確立することに特にこだわるだろうと述べた。これには具体的にどの国が参加するかについての合意も含まれるという。

  ロシア大統領府のペスコフ報道官はコメントの要請には直ちには応じなかった。

ロシアは最終的な和平合意に向けて進展がある場合にはウクライナとの停戦の協議に前向きだと、事情に詳しい関係者が明らかにした

Source: Bloomberg

  ウクライナ当局者によると、ロシアはウクライナへの空爆を強化しており、数百発のミサイルやドローンによる攻撃を実施した。

  トランプ大統領は7日、ロシアのプーチン大統領もディールを望んでいると確信を示したが、これに先立ち、ロシアが協議を進めない場合は、追加制裁と関税を同国に加える考えも示した。

  トランプ氏は7日、自身のソーシャルメディアプラットフォームであるトゥルース・ソーシャルで、「現在戦場においてロシアがウクライナを『叩きのめしている』という事実を踏まえ、停戦と最終的な和解合意が締結されるまで、ロシアに対して銀行への大規模な制裁、そして関税を設けることを私は強く検討している」と表明。「ロシアとウクライナには、手遅れにならないよう、今すぐ交渉の席につくよう求める」と付け加えた。

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  その後の発言ではこうした警告には触れなかった。既に広範囲な制裁が科されていることを踏まえると、どのような追加措置が可能かは不明だ。

  ゼレンスキー大統領は夜のビデオ演説で、今回のロシアによる攻撃は、和平実現にはロシアに対する強制措置が必要なことを裏付けていると発言した。

  トランプ大統領に対しては融和的な姿勢をあらためて示し、「今日、トランプ大統領のチームとこれまでで最も集中的な作業が、さまざまなレベルで終日行われている」と述べ、「ウクライナは非常に前向きだ」と付け加えた。

  ゼレンスキー氏はトランプ政権当局者との協議のため、11日に側近をサウジに派遣する。米国のウィットコフ中東担当特使によれば、会合の目的は「和平合意の枠組みと最初の停戦」にこぎ着けることだ。

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前線で死亡した兵士のひつぎを担ぐウクライナ兵(3月5日キーウで)

Photographer: Roman Pilpey/AFP/Getty Images

  ロシアは、ウクライナ領内に北大西洋条約機構(NATO)軍の駐留は認められないと主張しており、「有志連合」が和平合意の監視を支援するとの欧州諸国による提案を拒否した。関係者2人によると、戦争に中立の立場をとってきた中国などがウクライナに軍を派遣することにはロシアは異議を唱えていない。

  トランプ氏は先月、プーチン大統領と電話協議し、ウクライナでの戦争を終結させるため首脳会談を行うことで合意したが、日程は設定されていない。

原題:Trump Keeps Pressure on Ukraine as Putin Seen Open to Ceasefire、Putin Said to Be Ready for Ukraine Truce With Conditions (1)(抜粋)

(衛星画像へのアクセス停止を追加して更新します)

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