米関税は深刻な影響、自由貿易体制を維持できるかの岐路に=経団連会長

 4月7日 経団連の十倉雅和会長(住友化学会長、写真)は7日の会見で、トランプ米政権が発動した関税について、日米関係のみならず世界経済や自由貿易体制に深刻な影響を及ぼしかねないと指摘した。写真は2022年12月、都内で代表撮影(2025年 ロイター)

[東京 7日 ロイター] – 経団連の十倉雅和会長(住友化学(4005.T), opens new tab会長)は7日の会見で、トランプ米政権の一連の関税措置について、日米関係だけでなく世界経済や自由貿易体制に深刻な影響を及ぼしかねないと指摘した。その上で「自由貿易体制を維持できるかどうかの岐路に立っている」と警戒感を示した。

十倉会長は、米国の関税について「WTO(世界貿易機関)のルールや精神との整合性に著しい疑問を禁じ得ない。非常に残念だ」と表明。「こういう時こそ日本は有志国と一緒になって、自由で開かれた国際経済秩序を維持・強化することの重要性をしつこく問いかけていくべきだし、そのリーダーシップを取るべきだ」と語った。

株価の大幅下落については「情報の収集、分析、その発信を政府の方にはお願いしたい。不安感のいくばくかの緩和になるだろう。短期的にはそれを急ぐべきだ」と語った。

トランプ政権の関税措置を受け、自民党の高市早苗前経済安保相から、日本が深刻な不況に陥らない為に「利下げ」と「大胆な財政政策」が必要だ、といった意見が出ている。

経団連としてこの局面で政府と日銀に求めることを問われ、十倉会長は、そういう意見があるのは承知しているが「総合的に考える必要がある」と述べた。必要な財政投資を行うと同時に、財政基盤を強固にする取り組みもしていかなければならないと語った。

さらに、現状では物価がじわりと上昇し、中立金利から実質金利もずいぶん遠ざかっていると説明。「そういうところで金利を下げることによって景気刺激する、需要喚起するというのは有効かどうかよく吟味する必要がある」と語った。

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