4月10日、米連邦最高裁判所は犯罪組織のメンバーとみなされて中米エルサルバドルに強制送還された男性を米国に帰国させるようトランプ政権に求めた下級審の命令を支持する判断を下した。写真はキルマー・アブレゴ・ガルシア氏。家族が9日提供(2025年 ロイター)
[ワシントン 10日 ロイター] – 米連邦最高裁判所は10日、犯罪組織のメンバーと見なされて中米エルサルバドルに強制送還された男性を米国に帰国させるようトランプ政権に求めた下級審の命令を支持する判断を下した。
この男性は東部メリーランド州に住んでいたキルマー・アブレゴ・ガルシア氏で、米移民・関税捜査局(ICE)が3月に拘束し、犯罪組織とのつながりについて尋問した後、飛行機でベネズエラのギャングのメンバーとされる不法移民とともにエルサルバドルに送還された。
しかしアブレゴ・ガルシア氏は2019年、エルサルバドルのギャングに脅迫されているとの言い分が認められ保護措置を受けていた。このため家族が強制送還を不当として訴訟を起こし、メリーランド州の連邦地裁が今月、米国への連れ戻しを命じた。
最高裁は、連邦地裁が政府にアブレゴ・ガルシア氏をエルサルバドルの収容施設から解放するのを手助けし、同国へ違法に送還されなかった場合の状態を確保することを命令したのは適切で、政府は可能な措置を講じる準備を整えるべきだとの見解を示した。
アブレゴ・ガルシア氏の弁護士は最高裁の判断を歓迎。「法の支配が勝利した。米政府は時間の浪費をやめて(連れ戻しに)動く必要がある」と語った。
連邦地裁命令の取り消しを求めていた司法省の弁護士は7日に提出した意見陳述書で、アブレゴ・ガルシア氏をエルサルバドルへ送還したのは「事務手続き上の間違い」と認めたが、米国からの退去処分自体は正しく、同氏が犯罪組織の一員である以上、19年の保護処分は失効したなどと主張していた。
最高裁の決定を受け、アブレゴ・ガルシア氏の連れ戻しを命じたメリーランド州の連邦地裁判事は11日に審問を設定。政府が同氏の帰国を促す措置をとったのであれば、それについて聞きたいと述べた。
最高裁は一方で、「外交問題遂行において行政府に負うべき敬意を十分に考慮した上で」アブレゴ・ガルシア氏を帰国させるという指令の要件を明確にするよう連邦地裁判事に指示した。この要件は不明確であり、判事の権限を超えている可能性があるとした。
司法省の報道官は、今回の決定は「外交問題を遂行するのは大統領の専権事項」であることを認めたと語った。
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