(CNN) 米国のブリンク駐ウクライナ大使が辞任したことがわかった。情報筋によれば、ブリンク氏は、ウクライナ大統領府からの圧力と、トランプ米大統領の下で働く重圧の両方を感じていた。
ブリンク氏が駐ウクライナ大使として家族から離れて戦地に赴任してから約3年が経過した。情報筋によれば、こうした状況もブリンク氏にとって避けられない犠牲となっていた。米国務省報道官は、ブリンク氏の並外れた働きぶりを称賛した。
トランプ政権が発足し、米国の政策がウクライナからロシア寄りへと劇的に転換して以降、ウクライナと米国の関係は大きく変化している。ブリンク氏の突然の辞任もそうした変化の最新の事例だ。
ブリンク氏に好意的な見方をしているウクライナの元当局者はCNNに対し、ブリンク氏がもはや新政権では正しいことができないと考えていると述べた。「ブリンク氏は(キーウでの)3年間、非常に組織的にウクライナを支援した。ウクライナの成功のため、ブリンク氏は自身の立場で許されることを全て実施した。ブリンク氏の信念は、それと反対のことをするのを許さなかった」
同氏によれば、辞任後にブリンク氏と連絡を取ったが、ブリンク氏は、辞任を感情的に決断したのではなく、慎重に検討した末の決定だったという。
ブリンク氏は、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始してから数カ月後の2022年5月に大使に就任した。ウクライナ政府の主要な交渉相手は、当時のサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)だったが、ブリンク氏は国内やSNSで高い知名度を誇り、バイデン政権の軍事支援や人道支援の政策を推進した。
しかし、トランプ氏の大統領復帰で状況が大きく変化した。
新政権は、3年間にわたる外交的孤立を経て、ロシア政府と複数のチャンネルを開いた。米国は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を「不可逆の道」と支持する立場から、NATO加盟をほぼ完全に排除する立場へと立ち位置を変えた。さらに米国は3月に入ると、ウクライナ政府に戦争終結に向けた協議に応じることを強制しようと、全ての軍事支援と情報提供を停止した。
ブリンク大使を迎えるウクライナのゼレンスキー大統領=2024年5月/Brendan Smialowski/Pool/AFP via Getty Images
ただ、悪化したのは米政府との関係だけではなかった。情報筋によれば、ブリンク氏にとっては、ウクライナ大統領府との関係も以前から困難なものとなっていたという。
ウクライナ大統領府は、バイデン前政権が長距離ミサイルやF16戦闘機などの兵器の供与について過度に慎重になっているとして不満を募らせていた。情報筋によれば、ブリンク氏は米政府の高官として、こうした批判の矢面に立たされてきた。
ブリンク氏は、汚職対策と透明性の向上のための改革の導入を強く主張していた。資金の流用を懸念して支援法案の承認に難色を示す米議会の懐疑派を説得するにはこうした措置が不可欠だとみなされていた。しかし、このことが、ブリンク氏のウクライナ政界での不人気につながったという。米商工会議所のメンバーが明らかにした。
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