27日(土)冨田和裕リポート
『住宅街の奥の山では今朝も白煙があがっています・・・』

栃木県足利市で起きた山火事。
発生から7日目を迎えた27日も朝から消火活動が続いていました。

一時は100ヘクタールを超える広範囲まで火は広がりましたが、
27日現在、ほとんど確認できません。

近隣住民
「消防のおかげで、そこだけ残った。周りは全部燃えた
燃えたときはバケツいっぱいの水をかけたり小屋の周りに
水をかけて燃えないよう努力したんですけど消防の力はすごいですね」

27日、消防は山の斜面に残った火を消すため山の中へ・・・
これはその様子を撮影した映像です。

消防隊員
「木の根っこが残り火で燃えているような状況で
それが5か所くらい今のところ発見・確認されます」
消防隊員
「白煙があがっている5か所においては現在、踏みつけにより消火活動実施中」

27日、午後3時から開かれた足利市の会見では
消火状況についてこう説明しました。

足利市 和泉聡市長 
「全体状況を言いますと昨日よりもさらに
 コントロール度合いが強まって
 私の感覚だと鎮圧まであと一歩のところまで
 来てるんじゃないかという感覚を持っております」

27日現在、305世帯が避難勧告の対象ですが解除の基準は?

足利市 和泉聡市長
「これもなかなか難しいんですができればですね
 28日の状況が良くて28日の残火処理が順調に進んで
 そして明後日辺りに煙が立ち上がらなければ
 その時点で鎮圧を宣言できたらうれしいなという私の今のイメージです」

27日、午後5時半ごろ残火処理に向かった消防隊員が下山してきました。

消防隊員
「登山道の入山口、こちらの奥側が延焼したということで
 火をたたいて消火したという情報が入ってきたんですけど
 それでも完全にまだ鎮火に至っていないということで
 ジェットシューターという20リットルの水が入る背負い型の袋が
 あるんですけどそちらを使用して消火にあたった」

発生から27日で7日目。
ようやく鎮圧へのメドが立ったということで近隣住民からも安堵の声が・・・

近隣住民
「(火が)消えたからホッとしました
 こういうのは2度となくなればいいと思いますよね・・・」

しかし、避難勧告が出ている地域に住む中山さんは
今も危機感を募らせています。

火災現場の近くに住む 中山由香利さん
「きのう、ここから見ていてオレンジの光が見えたのでちょっと心配になって
 見ていたんですけど・・・」

26日の夜も自宅の近くで炎があがるのを確認したといいます。

火災現場の近くに住む 中山由香利さん
「またいつ種火みたいなのが飛んでくるのを考えると
目に見えないところで燃えているところがあるかもしれないので怖いです」

今回、なぜここまで延焼範囲が広がったのか?
森林火災を研究する専門家は・・・

森林総研 森林防災領域長 玉井幸治さん
「火災が発生してからずっと雨が降っていませんし、
空気も乾燥したままですし風が強い日が続きましたよね。
そういう条件下だと“消しにくい”」

延焼範囲が広がった原因は乾燥と飛び火です。

原慎太郎リポート
「火災が起こった山の近くは乾燥した落ち葉が辺り一面に広がっています。
 手に取ってみると、このように乾いているのが分かります」

では、乾燥によって燃え方はどう変わるのか?
これは空気の乾燥による燃え方の違いを実験した映像です。

画面左が湿度30%、右は湿度80%に設定。
それぞれ枯草の上に火のついたタバコの吸い殻を置いて炎が上がるまでの時間を測定。

すると、実験開始からわずか3分40秒で
湿度30%の方から真っ赤な炎があがりました。
一方、湿度80%の方は炎があがるまで10分以上かかっています。

そして、もう1つの原因が“飛び火”です。

これは飛び火の危険性を検証した実験映像です。
田んぼで焚火をした場所に風を送り込むと・・・

風に煽られた火は飛び火となって燃えうつるのが確認できます。

こうした状況が現場でも起きていたと専門家は指摘します。

元東京消防庁 麻生消防署長 坂口隆夫さん
「物が燃えると暖かい空気というのは上へ上へ行くわけですね。
上昇気流が発生して燃えたもの燃えたカス、火が付いたものが
 舞い上がっていく、そこへ横から強風が増えてくると
その燃えているものが流されていくわけですね」

現場付近では鎮圧へのメドが立っていますが
さらなる警戒が必要だといいます。

元東京消防庁 麻生消防署長 坂口隆夫さん
「火種が少しでも残っていると
 また風が吹いてまた燃え始めると再燃火災。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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