新型コロナウイルスの感染再拡大で、医療体制のひっ迫が急加速する大阪は『医療非常事態宣言』を出しました。

大阪府の新型コロナウイルス対策本部専門家会議の委員を務める、りんくう総合医療センターの感染症センター長・倭正也さんに話を聞きます。

(Q.大阪で再び感染が急増していることについて、どう受け止めていますか?)
ここまでグラフが垂直になるほど、一気に増えるとは思いませんでした。恐らく数日後には、1000人に達してしまうのではないかと思っています。大阪では2月末に緊急事態宣言が解除され、人々の気が緩み、送別会などの場で感染が非常に多く報告されています。そこに、感染力の非常に強い変異ウイルスが重なって、大阪ではまさに今、変異ウイルスが主流になりつつあります。

(Q.感染急拡大の背景にあるという変異ウイルスについて、どんなことが分かってきていますか?)
国内ではまとまったデータがなく、断定的には言えませんが、1つ目は「すぐに重症化しやすい」ことが挙げられます。また、変異型が広がる前は、陽性診断から重症化するまでに平均で8日かかっていましたが、変異型では6日と短くなっています。

2つ目は「10歳未満の子どもにも感染例が増えた」ことです。変異型は感染力が強いため、子どもにも感染しているのではないかと考えています。いずれにしても、早期に発見して、早く治療を始めるべきだと考えます。

(Q.大阪府では再び医療がひっ迫していますが、りんくう総合医療センターではどんな状況ですか?)
当院では、すでに重症用ベッドは満床になっています。また、中等症も半分まで埋まっている現状です。大阪府は、再びベッドを増やそうと号令をかけていて、うちも7日にベッドを増やすことを決めているところですが、感染拡大があまりにも急激すぎて各病院での対応が追い付いていません。このままでは死者が多く出るのではないかと危惧しています。

(Q.いち早くベッド数を増やすためには、どうしたら良いと考えていますか?)
重症のベッドを増やすには時間がかかります。そこで、神戸市がやっているように「延期できる手術は延期する」「救急医療の受け入れ先を分散させる」などの対応で、コロナ重症者を受け入れる大型病院の負担を軽くするよう、知事が主導で進めていただければ、スムーズにいくのではないかと思います。

(Q.大阪では『まん延防止措置』が始まっていたが、さらに『医療非常事態宣言』も出されました。この宣言でどんな効果が見込まれますか?)
人々に「医療がひっ迫しているため、行動に気を付けてほしい」と強く訴える効果があるのではないかと思います。もちろん、まん延防止措置にも同様の効果があると思いますが、効果が出るのは2週間ほどかかるので、これでは今の大阪のひっ迫具合に間に合わないと思います。手遅れにならないよう、吉村知事には、政府に緊急事態宣言の発出を要請することを検討してほしいと思っています。行政が医療機関に「コロナ病床を増やして」と要請する場合、後ろ盾として緊急事態宣言の方がより強いため、医療のひっ迫の改善には緊急事態宣言が有効だと強く思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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