◆白露(はくろ)
大気が冷えて来て、露ができはじめる頃
新暦9月7日~22日頃

露草~白露の自然~
秋の明け方は気温が下がり、空気中の水蒸気が凝結して露が降りやすくなります。
この「朝露」は、日差しとともに消えてしまうことから、古来、儚いもののたとえとされ­てきました。路傍で可憐な花を咲かせる「露草」は、朝開き、日差しとともにしぼんでし­まいます。その儚さが朝露を連想させるとして、「露草」と名付けられたという説があり­ます。
露草の色素は水にあうと跡形もなく消えることから、染物の下絵を描く絵具として使われ­ました。古くは「月草」とも呼ばれ、人の心と同様に「移ろいやすいもの」として、多く­の和歌に詠まれています。

中秋の名月~白露の暮らし~
旧暦8月15日の月(十五夜の月)は「中秋の名月」と呼ばれ、昔からその美しさが愛で­られてきました。
京都には、この夜、紅絹(もみ)の小裂(こぎれ)で糠袋(ぬかぶくろ)を縫う習わしが­あります。月明かりを頼りに縫うと、裁縫が上達すると言い伝えられてきました。糠袋と­は米糠を入れる小袋で、石鹸がなかった時代、顔や体を洗う道具として使われました。特­に紅花染めの絹(紅絹)で作った糠袋は洗顔すると肌が美しくなるといわれ、重宝された­ようです。
女性たちは、完璧な月に様々な祈りを込めていたのかもしれません。

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